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あいさつ
慶應義塾大学医学部 クリニカルリサーチセンター長
教授 佐藤裕史
新薬を健康保険下で広く使用するためには、その薬に関する厚生労働省の製造販売承認が必要です。この目的で新薬の効き目(有効性)と副作用(安全性)を詳細に検討するための臨床試験を特に「治験」と呼びます。新薬の開発は年々困難を極め、治験も複雑で大規模になっています。このため、治験を「国際共同治験」として世界同時に進め、一刻も早く重要な新薬が診療で使えるようにする動きが活発になってきました。
しかし、諸般の事情から日本における臨床試験はしばしば困難で、国際共同治験の機運に遅れをとり、その結果、生命予後を左右する新薬がなかなか日本で使えない、いわゆる「ドラッグラグ」が問題化してきました。こうした事態を是正すべく、厚生労働省は、治験活性化5カ年計画、臨床研究実施基盤整備事業、グローバル臨床研究拠点事業などの政策を実施し、治験を含めた臨床研究を活性化する基幹となる医療機関を選定してきました。
慶應義塾大学病院ならびに慶應義塾大学医学部は以上の事業で「治験中核病院」、「グローバル臨床研究拠点」に選定され、治験の円滑な運営、国際共同治験に対応できる体制の整備、治験・臨床研究を支える人材確保を鋭意進めて参りました。医学部では2006年にクリニカルリサーチセンターを設立して臨床研究の支援体制を整えてきましたが、2010年9月1日より、治験事務局における業務をもクリニカルリサーチセンターで担い、臨床研究と治験の一体化した円滑で効率よい運営を図ることと致しました。これにより、関連法規や手順の別により「治験」「市販後臨床試験」「自主臨床研究」などが混在し、参加する患者、実施責任医師、依頼企業それぞれに生じていた負担を軽減して、円滑でわかりやすい運用を可能にすべく努めて参ります。
最先端の医療を提供するためには高水準の臨床研究・治験が不可欠であり、これは産官学の連携、患者各位のご参加、臨床医や研究支援者の尽力なくして成功しません。向後とも関係各位の一層のご理解ご協力をお願い申し上げます。

